映像に携わる人にとって憧れの職業「映画監督」。
撮影機材や編集ソフトが安価となり、Youtuberに代表されるように誰もが映像作品を発信できる時代となりました。映画は映像、文学、演劇、音楽、美術といったあらゆる芸術が集まった「総合芸術」と言われ、いつかはいつかは映画監督をやってみたいと考えるクリエイターも多いでしょう。
しかしながら、映画監督になるにはどうすれば良いのかはあまり知られていません。
今、映画監督として活躍している人たちは、どこで学び、どんな道筋を辿ったのでしょうか?

■映画監督へのルート

その昔、映画監督になるには映画監督候補を募集している映画会社の試験をパスすることが必要でした。
かつての日本では映画スタジオが映画スタッフを社員として雇い、師弟関係の中で技術の伝承を行う「撮影所システム」がありました。難関の試験に通らないといけないため、東大や京大といった高学歴の人が多かったそうです。しかし「撮影所システム」が崩壊し、「映画監督」として採用を行う企業はなくなりました。
映画のスタッフの多くはフリーランスとして作品に参加するか、映像制作会社の社員として様々な映像を作りながら、映画監督のチャンスを窺っています。
現在、映画監督になるためのルートとしては、大きく4つに分けられます。

①助監督からステップアップ

かつて映画監督になるには助監督からスタートというのが主流でした。
有名監督のアシスタントとして経験を積みながら、プロデューサーに企画や脚本を持ち込んだり、手腕を認められて新作の監督を任されたりすることがあります。
助監督は映画づくりのノウハウを蓄積しながら、映画界の人脈づくりができる点が強みです。
その反面、チャンスやタイミングに恵まれず、なかなか監督デビューできない人もいるようです。

助監督出身の映画監督:行定勲「世界の中心で愛をさけぶ」、佐々部清「チルソクの夏」、武正晴「百円の恋」

②CM、MV、舞台、TVドラマ出身

映画監督になるルートは、映画業界だけではありません。映画以外の映像分野から映画に進出する方も多くいます。
それぞれの分野で映像表現が話題となり、映画の演出を任されるパターンや、制作会社所属のクリエーターが監督を務めたり、テレビドラマの映画版などテレビ局が出資する作品で監督を任される場合もあります。
特徴としては、それぞれの仕事で培った経験と独自の感覚が色濃く作品に投影されています。

CM、MV出身の映画監督:吉田大八「桐島、部活やめるってよ」、三木孝浩「ソラニン」、デヴィッド・フィンチャー「ドラゴン・タトゥーの女」
舞台出身の映画監督:三浦大輔「何者」、三谷幸喜「ラヂオの時間」、サム・メンデス「アメリカン・ビューティー」
TVドラマ出身:堤幸彦「TRICK」、本広克行「踊る大捜査線」、岩井俊二「スワロウテイル」、JJ・エイブラムス「LOST」

③インディーズ映画から商業作品へ

映画監督になるには、まず映画を作らないといけません。
自主制作した映画が、PFF(ぴあフィルムフェスティバル)や田辺・弁慶映画祭といったインディーズ系映画祭や、テアトル新宿、ユーロスペース、ケイズシネマといった単館系映画館でスマッシュヒットするなどで話題となり、商業映画の監督として声がかかるケースです。

プロとしての経験は少なくても、いきなり映画監督として自分なりの方法論で映画を作っているため、個性的な作風や世界観を持っているのが特徴です。
一方で自主映画と商業映画のやり方の違いなどで思うように力を発揮できないケースもあるようです。

インディーズ出身の映画監督:上田慎一郎「カメラを止めるな」、今泉力哉「愛がなんだ」、ロバート・ロドリゲス「シン・シティ」

④俳優、お笑い芸人、小説家、歌手など異業種から

知名度や資金力があれば、自ら映画監督になることもできます。
俳優やお笑い芸人などで成功を収めた人が映画監督をするケースも増えて来ています。
漫才や物語づくりで培ったストーリーテリングのセンスで独創性のある作品を生み出しています。
ある分野を極めた人は映画の分野でも才能を発揮することができるようです。その圧倒的な知名度が出資者や観客を惹きつける面もあるでしょう。

異業種出身の映画監督:北野武「アウトレイジ」、劇団ひとり「青天の霹靂」、辻 仁成「真夜中の子供」、クリント・イーストウッド「グラン・トリノ」

■映画監督が学んだ場所

ここまで映画監督になるためのルートを解説しましたが、実際に映画を監督するためには知識やノウハウが必要となります。
では、彼らはどのようにして映画づくりを学んだのでしょうか?

①の助監督は、やはり様々な映画監督の技を間近で見て学べることが何よりも大きいでしょう。助監督はスケジューリングからクルーの統率や俳優の演出まで任される場合があるので、映画監督の勉強には最適でしょう。

②のCM、MV、舞台、TVドラマ出身の映画監督の多くは、芸術大学や映像系専門学校で学び、アシスタントディレクター経験を経て監督になっているのがほとんどです。会社や団体に所属することで安定した収入を得ながらスキルアップが図れますが、自分が好きな仕事ばかりやれるとは限りません。

③のインディーズ出身の映画監督は、いきなり監督からデビューすることがほとんどです。彼らは映画の専門学校や、実際の作品づくりを通して映画を学びます。
オリジナリティのある独自の表現手法を作品に込め、映画祭などで発表することで評価を得ます。クライアントからの制約を受けない、自由な表現を追求できる反面、予算が少なく身を削って作品を生み出すだけの熱意と執念が必要でしょう。

④の異業種出身の映画監督は、現場で得た知識や経験を元に映画を作ります。
自分の分野で成功を収めた場合が多く、監督を支える優秀なクルーがいれば、良い作品を作れる可能性は高いでしょう。しかし、映画業界経験はないため、熟練の映画スタッフを認めさせるだけのカリスマ性やリーダーシップ、才能が必要かもしれません。

いずれの道を辿ったとしても、映画監督になるためには、様々な芸術に対する知識や表現のオリジナリティ、人脈や人間的魅力が必要となります。
「バーニング」「オアシス」などで知られる韓国の巨匠、イ・チャンドン監督は、映画監督になる前は教師で、小説を書いていたそうです。
映画監督デビューするまでの人生経験が、その後の作品での評価に繋がったのではないでしょうか。

■まとめ

映画監督になるには、決まったルートはありません。
映画監督になるための道や、映画づくりを学ぶ場所、方法は幾つもあります。
今後はYoutuberやe-sportsなど、新しい分野出身の映画監督も出てくることでしょう。
しかしながら、どこで学び、どんなルートを経たとしても、映画監督になるには必ず最初の映画を作らなければなりません。
さらに次の一本を実現し、評価を得て、また次の作品を作る。
映画監督にとって映画を作り続けることが何よりも難しいのです。
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